2020年,新型コロナウイルス蔓延により,日本全国に影響が出ています。
今年のイベントや祭は全部中止!と叫ばれていますが,神社の祭に限っては中止になっているところはほとんどありません。
どの神社でも必ず祭を行なっています。
祭は何をする日なのか,もう一度見直してみるのもいいかもしれません。
中止になっているのは神輿渡御を含めた神賑(しんしん)行事
お神輿や山車,お囃子などお祭りの日には,様々な行事が行われます。
祭に付随して行われるお囃子,神楽,演武,神輿,山車などを神賑(しんしん,かみにぎわい)行事といいます。
確かに,令和2年に入ってからはこういったものはことごとく中止,もしくは規模縮小となってしまっています。
しかし,こういった行事が中止になっているからといってお祭りは決して中止になっていません。
「今年の祭は中止だ〜」
とよく聞きますが,実際は中止になってはいません。
各神社で必ず祭は行われている
お祭が中止になっていないと言うことを理解するために,
「結局祭は何をする日なの?」
ということを知ることが必要です。
各神社で行われる祭は,神社にいらっしゃる神様をお祀りする日,です。
それゆえ,お祭りの日は神職により神社内で神事が行われています。
この神事こそが,祭の中心であり,“メインイベント”です。
お神輿が中止になっても,祭の中心である神事は必ず行われていると思います。
本来の目的は果たしている
そういう意味では,お神輿が上がらなかったとしても各神社の神様を祀る,祭の日の本来の行事は果たしていると言えます。
「今年は神事だけか〜」
とがっかりするのではなく,コロナ禍においても途絶えることなく行われたことは慶ばしいことです。
「神様」の本当の役割
神輿を含めた神賑行事が中止になっても,祭本来の目的である神事は決して無くなる事なく行われています。
それでは,我々住民,氏子にとって「神様」という存在はどんなものなのか,考えてみようと思います。
神様と人との関係性
私は,神道における神様と人の関係性は,一神教における絶対神と人との関係性と異なっていると考えています。
御成敗式目の一文
「神は人の敬によりて威を増し,人は神の徳によりて運を添ふ」
の言葉を見てみると,
ざっくり言えば
「神様は人が大切にすればするほどパワーアップするし,そのパワーアップした神様によって,人々はハッピーになる」
みたいな意味だと思います。
つまり,日本の神様は,人々と双方向に関係し合い,存在しています。
しかし一神教の神様の考え方においては人と絶対神の関係性は一方的であり,人が神様のパワーに影響を与えるといった考え方はあまりしません。
大切なのは神社を大切にし続けること
神様と人との関係性がきちんと成り立っているのだと仮定すれば,神様によってハッピーにして頂くには,祭の日だけでなく普段から大切にする事が重要であるし,それが出来ます。
逆に,どれだけ一生懸命叫びながらお神輿を担いでも,心の矢印が神様を向いていなければ,あまりおかげを頂くことは出来ないでしょう。
お祭りの日はどんな日であるのか,そしてお神輿はなんのために担いでいるのか,本来の意味を考えてみることも大切な気がします。
どうして神社にはそんなパワーがあるのか
最後に,どうして神様には人をハッピーにする力があるのか,を分析してみますと,「神様」という存在は"見えるもの"ではなく,"在るもの"です。
"見えない"からといってそこに"いない"のでは無い。
私たちのこころと一緒で,見えなくてもそこに在ります。
少なくとも,在ると信じることは出来ます。
"神社には,神様がいる!"と断言することは私には出来ませんが(確認できないので)そこにいらっしゃると信じることは出来ているのです。
そこに神社が今でも残っているということは,神社が建てられた時,もしくはもっと前から”神様がいると信じていた”人たちの思いが集合しています。
だから,一つの大きなエネルギーとなっているのでは無いかと私は考えています。
もちろん,年に一度のお神輿は誰より楽しみにしているし本当に大好きな一日ですが,普段から神社を清掃したり,毎日神棚に拝礼したり,地域の活動に参加することで「大切にすること」が出来ます。
私はそれを継続しながら,もっともっとたくさんの人たちをハッピーにしていただけるような神社であればいいなと思っています。