「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

例大祭の日,コロナで神輿が上がらなくても出来ること

2020年,今年はコロナ禍により多くの神社の祭りにおいて祭典行事が中止になっています。

特にお神輿は,人との距離も近く,多くの地域で渡御が取りやめとなっています。

一年に一度,本当に楽しみにしていた日なのでさびしい気持ちですが,神輿渡御が出来なくても,もう一度例大祭の日を見つめ直し,出来ることはないかと探ってみました。

一年に一度の大切な1日

楽しい思い出がたくさん

そもそも,例大祭とはいったいどんな日なのでしょうか?

なんとなく,子供の頃は一年に一回前日の夜になると神社にたくさん人が集まって,露店が出て,楽しい思い出がたくさんある日という感覚でした。

次の日,例大祭当日はお神輿が上がり,たくさんの人が集まって来て盛大に里を練り歩く。そんな日でした。

みんなが楽しみにしていて,お祭りが近づくとなんとなくソワソワする。

子供の頃の鮮明な記憶は,今でも忘れることがありません。

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子供の頃,お祭りの1日をとても楽しみにしていました。

神社にとって一番重要な祭

一言にお祭りといっても神社ではしょっちゅうお祭りの機会があります。

神職がいない場所ではわざわざ執り行われていませんが,毎月の1日と15日(神社によってはこの限りではありませんが)には月次祭が行われています。

例えば伊勢神宮では毎日のお供えの際に行われるものも含めると1500以上ものお祭りが年間に行われているそうです。

地方の小さな神社ではもちろんそこまで行われておらず,私の地元の神社も,基本的には春と秋の例大祭の時にしか神事を執り行いません。

その点においても,例大祭の日は神社にとって極めて重要な日であることがわかります。

普通神社一社に対して例大祭の日はそれぞれ定められており,ご祭神ゆかりの日か,その土地にとって意味のある日が定められています。

その日に神職の祝詞によって神様がお神輿に降り立ち,氏子により街をまわると言った行事が行われます。

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例大祭の日,お神輿の前で神職による神事が行われ,参加者はお祓いを受けます

何のために行われるのか

それでは本来,例大祭は一体なんのために行われて来たのでしょうか?
毎年行われて来た神輿渡御が出来ず,一年に一度の一番大切な日に最低限の神事だけでなく,我々氏子として出来ることはないのかを考えてみました。

そもそも,例大祭,「まつり」が行われて来た理由は様々な考え方があるようですが,古来日本人において一番重要な作物は稲であり,生活を支える食は 神と強く関連し,一年の収穫を報告する日だった,というような考え方もあるそうです。(参考:折口信夫「大嘗祭の本義」)

現代は少しづつ意味合いは変わっているかもしれませんが,神社はずっと昔から住民によって守られてきた場所で,報告する場所であるだけでなく感謝を述べる場所でもあると認識しています。

一年に一度,たくさんの感謝を伝える日だとしたら

お祭りの日はみんなでお神輿担いで,大騒ぎして,お酒をたくさん飲むことが出来る。

それも確かにお祭りの楽しみの一つですが,一年に一度,日々の感謝を皆で強く伝えることが出来る日だとしたら。

神輿渡御も毎年成功させるためには,日々どんな風に生活し,どんな風に人と接しながら過ごしていくかがとても重要です。

たくさんの人が協力し合い,成功に向けて本気にならなければお神輿を担ぎ上げることは出来ません。

そう考えると,かっこよくお神輿を担ぎ上げ,無事に祭の1日を終えられることは,その一年我々がどう過ごして来たかの報告であるとも捉えられます。

そんな毎日を送ることが出来,報告が出来ることに感謝することが祭の大きな意味ならば,今年お神輿を担ぎ上げることが出来なくても出来ることはあるはずです。

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無事にお神輿を担ぎ上げるには,たくさんの仲間たちの協力が必要です

やっぱり神社清掃!

僕は昨年お神輿が上げることが出来なかった時から,毎月必ず神社清掃を行うと決めました。
神社清掃の活動は少しづつ若者にも広がっていき,現在ではたくさんの仲間に囲まれ本当に楽しく行うことが出来ています。

例大祭の日,神社社殿における神事と,お神輿での神事はすぐに終わってしまいましたがもっともっとキレイな神社であって欲しいとの思いと,一年間継続して来た神社清掃活動の報告の意味を含めて神事のあと仲間たちと神社清掃を行いました。

何も出来ないさびしさよりも,少しでも大好きな神社のために出来ることがあることがとても嬉しかったです。

今思い返してみれば,一年前お神輿を上げることが出来なかった例大祭の日よりも格段に神社からはゴミがなくなり,訪れる機会も増えました。

僕たち氏子と氏神様である春日神社の関係性はより良くなったのではないかと感じました。

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皆で続けて来た神社清掃。どんどんキレイになっていきました

お神輿を上げることは目的ではない

二年続けてお神輿を担ぎ上げることが出来なかったことはさびしい思いもありますが,例えば今後100年お祭りを続けていくのならば,神社を次世代まで届けていくのならば,お神輿を担ぐことは目的ではありません。

気候の影響や,現代のコロナの影響など様々な原因でまた一年に一度のお神輿渡御が叶わない年もあるでしょう。

しかし,神社に対して思いを寄せ,日頃からもっともっと大切にしながらそう思ってくれる人を増やすことは出来ます。

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例大祭の日,大切な仲間たちと神社清掃!

神社清掃は,そのためにとても有効な手段だと感じています。

月に一度だけですが,仲間たちと集まり,たくさんのご縁を頂いた地元の神社をキレイにして,語らいながらまた楽しい日々を過ごし続けること。

それがきっと,今後さらに100年続いていく神社や祭りの鍵となっていくのではないでしょうか?

2020年例大祭の日の様子はこちらからご覧いただくことが出来ます。
<例大祭当日,神輿準備から神事>

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<例大祭神事後の神社清掃>

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