「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

【2019年は日ブルガリアトリプルアニバーサリー】ブルガリア伝説のサムライ,山沢静吾

2019年は日本とブルガリアの3つの記念の年,トリプルアニバーサリーです。

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日本とブルガリアのつながりについて,日本人はあまり知りませんよね。

僕もあまり知らなかったのですが、ブルガリアでは一人の歴史的に有名な日本人がいるそうです。

在ブルガリア日本大使館の方に教えてもらいました!

ロシア皇帝から勲章をもらった薩摩の武人,山沢静吾

その人の名は,山沢静吾。

ちょっと聞いたことないですね。

全然わからないので,背景を整理してみます。

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山沢静吾(1846~1897)

ロシア帝国 vs オスマントルコ帝国「露土戦争」

1877(明治10年)〜1878(明治11年),露土戦争と呼ばれる争いがありました。

この戦争に「観戦武官」としてロシア帝国側に派遣されていたのが,山沢静吾中佐(最終階級:中将)その人です。[『外務省記録』( 5 門― 2 類―11項)1896- 7 年、『陸軍省大日記』 1877年 7 月ほか]

観戦武官とは,この頃盛んに行われていたらしく,中立国から派遣され,戦争を「観戦」していたそうです。なので基本的には戦うことはありません。

武勲をあげたプレヴェン要塞での戦い

宣戦布告したロシア軍はドナウ川を渡り,ブルガリアへと侵攻します。

この時山沢静吾は同行していたのですね。

これが日本人が初めてブルガリアへ足を踏み入れた時とされています。

その後,軍はさらに南下し,プレヴェンの要塞に立てこもるトルコ軍と激突します。

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ドナウ川を渡り南にある街プレヴェン

プレヴェンの要塞から打たれるクルップ製砲尾詰め大砲とウインチェスター製連発銃。

↓こちらウインチェスターライフルの射撃風景。強力な武器ですね・・・。

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ロシア軍は大変な苦戦を強いられ,2万人もの兵を失ったといいます。

↓すさまじい闘いですね・・・。

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闘いに参加した「観戦武官」山沢静吾

山沢静吾は観戦武官の立場でありながら,ロシア帝国軍の中で武勲を振るいました。

当時薩摩武士が身につけていた「示現流」の太刀は頭蓋骨を叩き割る剣術。

薩摩の武人であった山沢は,トルコ軍に追い詰められる戦況の中で,立ち振る舞ったのでしょう。

その姿を見た当時のロシア皇帝(アレクサンドル2世)は,山沢に勲章を渡すことにしたそうです。

「山澤静吾、露軍に属し戦地に出張中、弾丸雨注の際、自若勇猛の挙動抜群、衆目を驚かし、戦地熟練の名誉を露軍に顕し、魯(露)帝より勲章を授けられし旨、戦地より申し越す」(在フランス公使館の中野代理より陸軍卿山縣有朋宛て)

いかに山澤という人が勇猛果敢であったことが書かれていますね。

「屍者の帝国」(映画2015)に登場

2015年に製作された「屍者の帝国」にて,明治政府とのやりとりのシーンで山沢静吾が登場します。

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映画「屍者の帝国」

【あらすじ】

フランケンシュタインの屍体蘇生技術が開発されて約100年後の19世紀末,ロンドン大学の医学生であったワトソンはともに屍体蘇生の研究をしていた親友のフライデーを亡くしてしまう。

彼はフライデーの体を使い研究を進めるが,英国諜報機関ウォルシンガムとの司法取引により違法でフライデーを蘇生させたことを不問にする代わりにフランケンシュタインが残した手記を渡すように言われる。

軍人のバーナビー,そしてフライデーと共にワトソンは新型屍者を生み出したカラマーゾフを探す・・・

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映画に登場する山沢静吾

一人の日本人が国を象徴している

リトアニアへ訪れた際もそうでしたが、国と国をつなぐキーパーソンとして一人の日本人が象徴となっていることは,驚くべきことです。

リトアニアを象徴する杉原千畝は,現在でもリトアニアで知らない人はいない程で,首都ビリニュスには彼の名前がついた杉原公園,杉原ストリートなどもあります。

こうした偉大な先人が海外で人々の記憶に残り,今の日本人のイメージを作っている。

亡くなった後も大いに影響を残し,外交の象徴になっている。

そんな日本人がいたことを,もっともっと伝え知ることで今を生きる僕たちもより自分たちの生きる日本に誇りを持てるのだと思います。