「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

リオンでお神輿が上がった・・・。「お祈りをしてもいいですか?」それを見ていたアフリカ人が僕らに伝えてくれた事

色々ドタバタありましたが,ついにリオンでおそらく初めてとなるお神輿が上がります。日仏交流160周年というこの年に,遠くフランスで祖父のお神輿をまた上げる事が出来る事はとても感慨深いです。

神事がはじまるというのに

前回

さて,全て準備が整い,担ぎ手もそれったところでリーダーと思われる彼に

「神主さんを呼んでくるのでちょっと待っててね,セレモニーを始めよう」

と伝えたのですが,何とも伝わっておらず(フランス人は意外と英語が苦手)僕があずま君を呼びに言っている間に担ぎ初めてしまいました。

「ちょ。ちょっと待った〜!」

と,一瞬焦りましたがここはフランス。何が起こるかわかりません。

神事を行う予定の場所よりちょっぴり前に進んでしまいましたが,お供え物もお神輿の前に置かれ,狩衣を来たあずま君も登場し,神事が行われました。

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フランス人の皆さんも一緒に拝礼!

思っていたよりチャラいイベントだった←ので,きちんと参加してくれるかなあと思っていましたが,担ぎに集まってくれた人達は祝詞奏上中ずっと頭を下げ,拝礼も行ってくれました。

ジャンピエールさんも戸惑いながら玉串奉奠に挑戦。

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ジャンピエールさんの玉串奉奠。



神事は滞りなく行われました。

いよいよお神輿が上がります

それではいよいよ,お神輿が上がります。

このために遠路はるばるリオンまで来ました。掛け声は,「わっしょい」

最初みんな恥ずかしそうでしたが,来場者たちに囲まれ写真をたくさん撮られているうちにノッて来て,みんな大きな声で担いでくれました。

初めて見る担ぎ上げられたお神輿。

どんな風に見てくれたのでしょう。

会場を一周して,無事お神輿は渡御を終え,還御の神事。

その後記念撮影です。

楽しかったですね!度重なるトラブルでどうなる事やらと思いましたが無事渡御を終える事が出来て良かったです!

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担ぎ終わった後の記念撮影。みんなありがとう!

お神輿の前に来てくれたアフリカ人

無事お神輿の渡御も終わり,あずまくんと二人お神輿の近くで一安心していると,あるアフリカ人の20代くらいの男の子に話しかけられました。

「お祈りをしてもいいですか?」

僕とあずまくんは,一瞬ドキッとしましたが,

「さっきこのお神輿のセレモニーを見ていました。

これは日本から来たとても大切なものなのでしょう?

僕の故郷,マダガスカルでもお祭りがあって,神様を大切にしています。

今日ここに来てセレモニーを行ってくれたことにとても感謝します。

日本人の皆さんの大切なものに僕もお祈りしたい。

やり方を教えてください。」

神主のあずまくんは拝礼の作法を教え,彼はお神輿をじっと見つめた後,あずまくんに教わった二礼二拍手一拝を丁寧に行ってくれました。

「大好きな日本の神様にお祈りできてとても嬉しかった、本当にありがとう!」

彼はニッコリ笑って,一緒にいた彼女と,また会場へと戻って行きました。

彼が教えてくれたこと

その夜,あずまくんと彼について話をしました。

初めての海外で,お神輿を上げて日本人が一人もいない中皆頭を下げてくれた。

そして一人のアフリカ人が,わざわざお祈りに来てくれた。

そんな事実が衝撃的だったようです。

故郷で大切にしているものがあるから,遠く日本から来てくれた誰かの大切なもののためにお祈りする。

なんて美しい姿なんだろうと思いました。

神社やお祭りは,僕らのご先祖様がずっとずっと大切にされて来たものです。

他のお祭りに行っても,他の国へ行っても同じ。

そこには,誰かが本当に大切にして来たものがある。

それに素直に感謝し,手を合わせる事が出来る美しく豊かな心に触れる事が出来ました。

名前も聞かなかったけれど,その姿に僕は素直に感動しました。

これからも神社やお寺に行ったら

神社やお寺に行くと,たくさんの感謝の気持ちを伝えています。

しかしどこかで,形式にこだわっていたり,そんな姿であらなければと思いながら拝礼していたのかもしれません。

でも彼は,そこに誰かが大切にしているものがあったからお祈りしたいと思い,お祈りしてくれた。

そんな人間の素晴らしい心を再確認させてくれました。

僕らに「Thank you so much!」

と最高の笑顔で伝えてくれた事を絶対に忘れません。

これからもずっと,僕はこのお神輿を大切にしていきたいと決意しました。

 

これでリオン編は終わります。リオンでのイベントが終わり,僕らはブルガリアへ向かいます・・・続く