「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

全国の祭り仲間で飲み明かしたい〜祭りの未来は「みんなで」考えよう〜

 日本には,全国どこへ行っても祭りがあります。

幸運にも,様々な地域にご縁を頂き,たくさんの熱い祭りの魂を感じています。

そして,共に各地の神輿を担ぎ,祭りを成功させた事は最高の時です。

そんな祭りを軸にした魂の交流をいつか,してみたいものです。

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・小さな里の小さな祭りに,こんなにも熱い人たちがいる

 自分の里の祭りを守っていく。

それはとても困難で覚悟が必要な事です。

しかし全国各地にお祭りがある以上,どんな小さな地域にもそのお祭りを守るため情熱を傾けている人たちがいます。

それはお神輿だったり,山車だったり,お囃子だったり・・・。

様々な形ではありますが,自分たちの誇りであるお祭りを真剣に考え守り続けています。

・困難に立ち向かうために

 しかし現実を見ると,各地のお祭りはたくさんの困難に直面しています。

資金が集まらなかったり,人が減っていったり,神輿や山車,さらには神社が老朽化していったり。

神社を中心に,祭りの運営をしていくにはたくさんの問題点を解決していく必要があります。

そのノウハウや思いが受け継がれていればいいのですが,現代のような大きな時代の波の中で更新が求められています。

祭りの運営や,在り方は,マニュアル化など絶対に出来ないし,外部の人間がいじれるものではありません。

それは,各地域によって地域,産業,人,歴史が違うからです。

各地域の祭りで,その地域を紡いで来たのは地元の人です。

地元の人が,地元の人たちと,知恵を継承していく。

祭りの運営において,それが一番シンプルで同時にパワフルな手法なのです。

ただ,現実として現代の祭りや神社などの日本の根幹に関わる部分に押し寄せる波は,我々が思っているよりも強烈で恐ろしいものです。

現代を乗り越える事ができるかどうか,は今を生きる私たちにかかっています。

・「注目する」だけではダメ

 現代日本に押し寄せる文化に関する波は想像よりも強烈です。

日本人のアイデンティティとなりうる日本文化。

最近注目されている,といってもその注目のされ方を冷静に見てみましょう。

日本文化は,注目されているだけで,後継者は減る一方です。

農業や漁業などの一次産業,伝統工芸を含む二次産業。

祭りにおいても,郷土芸能,お囃子などしっかりと継承する若手はどんどん減っています。

「注目を集め」ているだけで,技術や文化を継承する動きには到っていないのです。

例えばあと15 年同じような状況が続いていくと,そのような技術や芸能,ノウハウを知っている人たちは亡くなってしまうでしょう。

「注目する」だけではダメなのです。

・それではどうするか

 僕は,自分たちの祭りを永続的に守っていく唯一の手段は,「みんなで考える」という事だと思います。

地域の祭りを守っていくということは,現代日本が抱える過疎や後継者不足の問題などを包括的に解決していかなければならず,一瞬のブームを作ることはできても抜本的な解決をしていくことは極めて困難です。

そのためには,「みんなで考えていく」必要があると思います。

地域の祭りを愛する人は,同時にその地域を愛しています。

それは素晴らしい祭りの1日を作るためには残りの364日にかかっている事を知っているからです。

地域の産業,コミュニティ,風景,環境,全てを同時並行で考えていかなければ本質的な祭りの未来を提示することは出来ないと思います。

そのために,今こそ各地域の祭りを,そして地元を愛する人たちが祭りを通じて交流し,祭りの未来を考えていく事が唯一の突破口なのではないでしょうか?

・お祭り談義に花を咲かせ,酒飲むってこと

 それはつまり、どういうことか。

僕の小さな夢,というかやってみたい事は,お世話になっている色んな地域の祭人達が一箇所に集い,笛や太鼓を鳴らしながら一緒に歌い,酒を飲む事です。

改めて一夜を祭り話で明かしながら意見を交換し合い,お互いの祭りの継続を約束し合う事が出来たらすごく豊かな時間となるはず。

僕に残された残りの約50年で,全国の祭り仲間を繋ぐ緊密な魂のネットワークを作る事が出来たら,そんな人たちみんなで飲む酒は最高に美味しいんじゃないかと思います。

そうやって悩み事を共有したり,報告し合える仲間達が全国にいる事。

それは祭りを続けていく上で大きな勇気と,そして力になるはずです。

さらにそれは次世代へ繋がり,我々の子供達にとって大きなレガシーとなって残っていくはずです。