「祭の男」宮田宣也のブログ/明日がもっとスキになる

今,守るべき,つなぐべきこころって何だろう。祭の男,宮田宣也の祭ライフと,祭哲学について。

国旗というフラッグ,日本神話というフラッグ〜フランス国旗について考える

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フランス,パリでテロがあった。

僕の友人も,パリにいた。

たくさんの命が奪われ,危険にさらされた。

facebook上では,フランス国旗がプロフィール画面に彩られ,並んでいる。

この現象と効果について,日本の自然信仰,先祖信仰から神道へと体系立てられた状況を参考にして,分析してみる。

信仰から,神社へ

以前,宗像大社の記事で言及したが,

nobuya.hatenablog.com

日本の古い神社は,神道や日本神話より先に信仰があった。

毎日恵みをもたらす,そして時に大きな脅威となる海や山,そして土地。

自身のルーツである先人への感謝と崇敬。

そういった人の信仰が集まる木や岩や山。

それは神籬,磐座,神奈備と呼ばれ日本神道のルーツと言われている。

さて,そこから日本神話というものが出来た。

さらに,信仰があった場所に神社が出来た。

つまり,今まで土着の信仰,別々の思想,崇拝だったところに「神道」というフラッグが立てられた。

そこから,天皇を中心とした国作りが始まっていく。

八百万の神,と表現される複合信仰が体系立てられていったのだ。

すりかえられる信仰

日本各地の神社へ行くと,土地の神様と同じ箇所に,やたら立派な社殿が立てられて日本神話の神様が祀られている例がよくある。

始め,土着の崇拝や信仰があった場所に立派な社殿が立てられ,御祭神が設けられたことで「信仰のすり替え」が起こる。

土地や先祖への崇拝や信仰だったはずが,いつしか天照大御神を最高神とした日本神話の信仰,宗教としての神道にすりかえられてきた,と考える。

土着の文化である祭を神道信者,と捉えるのには無理があると以前議論したが

nobuya.hatenablog.com

そのからくりはここにある。

フランス国旗

さて,先日あったパリでのテロ。

すぐにfacebook上でフランス国旗が掲げられた。

これがもたらす効果は,世論の操作と色付けである。

ひとりひとりの「フランス」へ向ける想いは,自身の思い出であったり,縁のある人であったり,非常に純粋でパーソナルな物だ。

しかし,そういったたくさんの想いや感情に対しフランス国旗というフラッグを掲げると,いつしかそういったパーソナルな想いが対フランス国家への物へとすげ替えられてしまう。

この大きな効果は,個人個人の主観的な感情を変えることではなく外から見ている人たちの客観的な印象を創り上げることだ。

「神社のお祭に参加している人は,皆さん神道を信仰しているのですか?」と同じように,

「フランス国旗を掲げている人たちは,フランス国家へ祈りを捧げているのですか?」

と誤解されてしまう。

こうやって世論は操作されていく。

社会には,「事情をよく知っている人」よりも「よく知らない人」の方が圧倒的に多い。

そういった多くの世論を操作していくには,視覚的,感覚的にわかりやすい「フラッグ」が有効なのだ。

影響力の大きなサービスが,意識的にそういった操作をしている可能性は多分にあるし,全く意味もなくしていると考える方が不自然だ。

それでは,

「フランス国旗を掲げている人たちは,フランス国家へ祈りを捧げている」と誤解される先に何があるのか。

それはともすると,世界の複雑で暗澹たる思惑があるのかも知れない。